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イベント : みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)春の展示『ひろしま 遺跡再発見!』

掲載日時: 2016年05月02日

 より豊かな社会を求め行われる大規模開発。それにより、私たちの遠い祖先の暮らしの手掛かりとなる遺跡が発見されることがあります。そのような大規模開発に伴う発掘調査で出土した資料の保管や研究を、広島県立歴史民俗資料館(三次市)で行っています。
今回、現在開催中の「ひろしま 遺跡再発見」について、担当学芸員にご紹介していただきます。

 展示は、中国自動車道の建設に伴って見つかった遺跡と、三次工業団地の造成工事によって見つかった遺跡とに分け、それぞれの工事で見つかった遺跡を時代順に御覧いただく構成になっています。また、遺跡から見つかった資料の中で特に注目されるものなどを、トピック的に紹介するコーナーもあります。

第1章「中国自動車道の建設で見つかった遺跡」
 広島県北部の中国山地を東西に貫く、中国自動車道の建設に伴う発掘調査の成果を御紹介します。
 県内最大の旧石器時代から縄文時代の石器の石材採取地でもあり石器などがたくさん見つかった冠(かんむり)遺跡(廿日市市)、国内でも数少ない飛鳥時代の古墳が発見された篠津原遺跡群(しのつはらいせきぐん)(庄原市)、また、江(ごう)の川(可愛川(えのかわ))を自然の要害(堀)として防御を固めた中世の加井妻城跡(かいつまじょうあと)(三次市)など、48か所で遺跡が発見され多くの成果がありました。

第2章「三次工業団地の造成で見つかった遺跡」
 三次市東酒屋町を中心に造成された、三次工業団地の開発に伴う発掘調査の成果を御紹介します。
 この調査では、「矢谷墳丘墓(やたにふんきゅうぼ)」(現在は国の史跡)と呼ばれる弥生時代終わりころの豪族の墓が見つかり、有名な邪馬台国の女王「卑弥呼」が生きていた時代の広島県の墓制や、吉備(きび)や出雲(いずも)とのつながりなどが明らかになりました。また、多くの竪穴住居や高床倉庫などが見つかり、古墳時代から奈良時代ころの村の様子が明らかとなりました。

トピック展示(1)「埴輪のご先祖さま」
 古墳に立て並べられる埴輪は、卑弥呼が活躍した時代を前後して誕生しました。その誕生の様子を実物の資料で紹介します。

トピック展示(2)「おなべとおかまの今・昔」
 台所の調理道具の代表である「鍋」や「炊飯器」の歴史をたどるコーナーです。約2300年前から現在までの移り変わりの様子をご覧いただきます。

(広島県立歴史民俗資料館学芸課長 田邊英男)

※写真説明
一枚目:中国自動車道の建設に伴う発掘調査によって発見された四隅突出型墳丘墓(よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ)
四隅(角)がわずかに飛びだした長方形に土を盛り、周囲に石を並べて囲い、さらに斜面には平らな石を貼り付けています。弥生時代の中期から後期にかけて、中国山地から山陰地方を中心にしてこうした形の首長の墓が造られました。(庄原市・田尻山第1号方形墓 弥生時代後期)

二枚目:三次工業団地の造成に伴う発掘調査によって発見された特殊器台(きだい)・特殊壺
高さ約1m、口径約48cmの筒状の器台の上に、高さ約62㎝、口径約33㎝の壷をのせた特殊な土器で、器台には渦巻状のマジカルな模様が描かれ、巴形や三角形の「あな」があけられています。吉備(岡山県)で作られ、三次に運ばれて首長の墓に立てられていたものです。(三次市・矢谷墳丘墓出土 弥生時代後期)

「ひろしま 遺跡再発見!」
【会期】4月22日(金)~6月12日(日)
【時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館】毎週月曜日(5月2日は開館)
【会場】みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)(三次市小田幸町122)【料金】一般200円(160円)、大学生150円(120円)、小中高生無料
*( )内は20名以上の団体料金
【問合せ先】みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)0824-66-2881

関連行事
1.記念講演会「墓から探る三次盆地の弥生社会」
日時:6月4日(土)14:00~16:00
講師:加藤光臣(三次地方史研究会)
2.展示解説会
日時:(1)5月1日(日)14:00/(2)5月29日(日)14:00~
講師:みよし風土記の丘ミュージアム学芸員
3.国際博物館の日・平成28年度春の展示会開催記念イベント ふどきの丘春まつり「昔・むかしの体験イベント大集合!」
日時:5月15日(日)10:00~15:00
内容:土笛づくり、土器炊飯などの歴史的体験イベント
料金:イベントによって参加料が必要