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広島市水道資料館
(ひろしましすいどうしりょうかん)
広島市東区の牛田浄水場内に元送水ポンプ室として大正13年(1924)に建てられたレンガ造り建築であるが、昭和60年(1985)に水道資料館として内部2階を吹抜けとして改造し、外部は創建当時のままに補修した建物である。大正年代終わりから昭和にかけては関東大震災を経て建築技術が格段に進歩するが、この建物の出来た頃は明治から大正初期の建築の技術や意匠がまだ色濃く残存していて、この建物もその過渡期の例といえよう。レンガ造りの壁構造において、地形や窓台線、窓楣の位置、そうして棟廻り、切妻部や壁の出隅などに花崗岩などレンガと対比的色彩の石材を利用したり、その石材で横に多くの線を意匠として用いたりする明治建築の名残りが、よくこの建物にも見える。入口の廂(ひさし)やその上部に切妻壁を設けて体裁を整え、屋根のドーマー窓も左右対称に配置してある。建物の妻側の意匠もほどほどに整えられており、切妻レンガ壁上端も両仕舞に石材が用いられていて特に見所である。またこの浄水場内の数多くの沈砂池にはそれぞれに小さなレンガ造りに止水栓とポンプを納めた建物があった。これは方形屋根を持つもので壁面は花崗岩とレンガの均衡のよくとれたもので、広い沈砂池構内に規則的に整然と配置されて、沈砂池にその美しい姿の影を映して、ここならではの美観を呈していた。
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