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広島悲歌
(ひろしまひか)
「広島悲歌」は東京から疎開して来ていた細田民樹が、原爆の“屍の街”に肉親たちの安否を捜して歩いたときの見聞をもとに、被爆による家族破壊・社会破壊を描こうとした中編小説で、昭和24年(1949)刊。
市内各地の惨状が生々しく描かれ、現実凝視の迫真力が全編の底流となっている。例えば、
「黒々と焼けた裸木の群が突っ立ったまま、何か巨大な生きもののように、手をあげ足をふんばって、大空に首をもたげている。
それはちょうど、昨日のあの一瞬に、亡霊となった幾万の人々の影絵(シルエット)が、こういう真黒な巨人の姿となって、天にむかって何やら厳重な抗議でもしているかのような形にさえ見えた」
と縮景園の様子を描いている。
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