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府中婚礼タンス(ふちゅうこんれいたんす)

 宝永(1704-11)・正徳(1711-16)のころ、備後の人、内山某が大阪でタンスの製法を習って帰り、伝えたのが府中タンスの起こりとされている。
 府中地方では、江戸末期から明治にかけて、農家の副業として嫁入りタンスが製造された。職人が、一人で手近にある栗や杉の材を用い、創意と工夫で精魂込めて作りあげたのである。このタンスには衣料を収納する引き出しのほかに、小道具や重要書類、子どもの通信簿から卒業証書、はては臍(へそ)の緒まで大切に保管した小さい引き出しが多い。三尺タンスと呼ばれる小型のものであった。
 現在の府中婚礼タンスは、近代的設備を誇る大工場で生産され、高級婚礼家具として全国に知れわたっている。
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