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艮神社のクスノキ(うしとらじんじゃのくすのき)

 千光寺山の東麓にある艮神社は大同元年(806)鎮座と伝えられている尾道最古の神社で、その境内にクスノキの大木4株(県天然記念物)が生育している。それらの樹冠が大きく広がっているので、遠くから眺めると、こんもりと茂った森のようにみえる。拝殿の前方にある一樹は最も大きく、地上3メートル内外の所で、太さの違う3支幹に分かれる。樹皮上にはコケ類やノキシノブが一面に着生して老木の風格が感ぜられる。昔から神木として崇められ、主幹の分岐部付近にはしめ縄が張られている。
 他の3樹は、社殿西側、3段になった土地の各段に1株ずつ生じている。拝殿のすぐ西、1段目の前寄りに、しめ縄を張った巨岩があり、信仰の対象となっている。昔はこの辺りから清水が湧き出ていたといわれ、その巨岩は「御手洗」と呼ばれている。尾道がまだ小さい農漁村にすぎなかった頃、格好な氏神の場としてここが選ばれた往古の姿が偲ばれる。
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