広島県の文化資源画像

須佐神社のフジ(すさじんじゃのふじ)

 県重要文化財に指定されている永正14年(1517)造営の八角神輿(みこし)があり、参道を覆う屋根の梁木に絵馬がたくさん掲げられていることで知られる三次市甲奴町小童(ひち)、須佐神社の一隅にフジの大木(県天然記念物)がある。社殿の北東方のへりに生じ、目通り幹囲3メートルに近いスギにからみついて登り、さらに隣にある他の1本のスギ(幹囲1.6メートル) と1本のケヤキ(2.8メートル) によじ上って、高さ約25メートルに達している。幹は胸高幹囲3メートル、複雑に分裂してはっきり分かりにくいが、大体3本に分岐して、途中空中で螺旋を描いたり、曲りくねったりして、昇天する竜を思わせる。根元近くにしめ縄が張られている。戦国時代に小童麓山城主綱時が武運長久(ぶうんちょうきゅう)を祈願して植えたと伝えられ、昔から「綱時のフジ」と呼ばれて畏敬されてきた。
 フジは本州、四国、九州の低地に分布し、幹は右巻き(上から見て時計の針と同じ方向)である。本種によく似たヤマフジは、左巻きで花穂が短く、兵庫県以西の本州、四国、九州に生じ、九州ではフジより多く見られる。
 本神社の社叢(しゃそう)は大部分がスギで、その中には胸高幹囲5メートルに近いものもある。その他ケヤキ(胸高幹囲4.2メートル)、ツクバネガシ(2.5メートル)の大木が見られる。
img60h.jpg

前のページへ戻る