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比婆山のブナ林(ひばやまのぶなりん)

 伊邪那美命(いざなみのみこと)を葬ったと伝えられている比婆山(1256メートル)山頂の御陵(県史跡「比婆山伝説地」)付近に、国天然記念物に指定されているブナ林がある。高木層は、ほとんどブナのみで占められた場所もあるが、ミズナラ、ホオノキ、イタヤカエデなどが混生することが多い。所によってはミズナラが優占している。このような林地では、ミズキ、イヌシデ、ヤマウルシなどが多く見られるようになり、二次林の性格が強い。亜高木層には、ブナの幼木とともにコシアブラ、ウリハダカエデなどが見られる。低木層はよく茂り、クロモジ、タンナサワフタギ、オオカメノキなどが多く、日本海側ブナ林に特徴的な常緑低木のエゾユズリハ、ハイイヌガヤも混生している。草本層には、チマキザサ、オクノカンスゲ、ヤマソテツなどが地床をおおい、ツタウルシなどのつる植物もよく目につく。御陵付近にはイチイが生じ、林内には美しい花を開くオオヤマレンゲが稀に見られる。
 ブナ林は、北海道南西部より九州高隈山にいたる山地の温帯林を代表する森林である。中国山地では、海抜800〜900メートル以上の山頂域に発達しているが、自然林として残っているものは少ない。
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