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竹地谷川沿いのマンサク(たけちだにがわぞいのまんさく)

 竹地谷川は、中国山地の山ひだを縫うように流れる川で、金尾峠(かねおとうげ)の南麓あたりに源を発して西に進み、札ケ峠(ふだがたお)から下ってくる道とともに、南の大月(おおつき)へ向かう流れである。中国山地沿いにある地域であるので、四季折々の豊かな自然に恵まれた土地柄といえるが、積雪期は長い。谷沿いの残雪が消える日を待ちわび、その春の到来を告げるのがマンサクである。
 マンサクは、星状毛をつけた冬芽(ふゆめ)をもち、2月から3月にかけて開花し、コブシなど他の花にさきがけて早春の渓谷に咲くところから「先ず咲く」、つまりマンサクの語源となったともいわれる。葉は開花のあとつき、そのため枝いっぱいに黄色い花をつけたところが稲穂に似ていることから、豊かな実(みの)りを願う予祝(よしゅく)の意味を込めて「満作」ともいわれる。早春に咲く木を「タニイソギ」ということもあるが、それはマンサクのほかダンコウバイやコウヤミズキなどをも指しているようである。
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