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吾妻山のタニウツギ
(あづまやまのたにうつぎ)
中国山地の一角をなす吾妻山一帯は、ブナ純林などの自然林が広がる県民の森として、多くの人に親しまれているが、吾妻山への2ルートである西城からと、旧比和町(庄原市)森脇からの道筋には、四季折々さまざまな木や草の花が咲き、登山者たちの目を楽しませている。
森脇からのルートである池の原林道沿いには、ブナ、ミズナラ、トチノキ、イタヤカエデなどの樹林が続き、自然観察の場やハイキングコースとして多くの人が訪れているが、新緑を彩って咲くのはタニウツギである。ラッパ状の小さくてかわいい淡紅色(たんこうしょく)のタニウツギが咲く頃は、ちょうど5月の田植えの時にあたるところから、タニウツギを「田植え花」とか「早乙女花」 とも呼んでいる。この花が咲く頃は、谷川の水音や蛙の鳴き声にせかされるように田植えが進められ、谷間に広がる田んぼが急速に薄緑色で埋めつくされる。
そして、初夏を告げるタニウツギの季節が終わると、森脇から吾妻山への登山道は、夏山を楽しむ人々が行き交うようになる。
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