広島県の文化資源画像

竹仁のホンシャクナゲ(たけにのほんしゃくなげ)

 上竹仁の集落の北に海抜779メートル(比高約380メートル)の硫黄山(いおうざん)がある。その西側に流れている川に沿って西方の谷(布谷(ぬのだに))に入ると、北側の高見山(たかみやま)および南側の黒(くろ)ボヤ山の麓に当たる、計92ヘクタールの地域に県天然記念物に指定されているホンシャクナゲの自生地がある。山の斜面の雑木林中に、場所によってはかなり高い密度で生育しており、よく生長したものは樹高3メートル余に達する。5月頃、淡紅紫色の花を開く。先が7裂(他の大部分の種類では5裂)している合弁花で、日本のシャクナゲ中最も華麗である。
 シャクナゲ類はツツジ類と同属の植物であるが、葉が大きくて厚く、通常ツツジ類より大きい花が枝先に集まって咲くことで区別される。広島県内にはホンシャクナゲ一種が知られている。この種は富山・長野・愛知県以西の本州と四国に分布する。従来ツクシシャクナゲ (紀伊半島・四国・九州の高地に分布)と間違えて県内各地から報告されてきた。ホンシャクナゲは、ツクシシャクナゲに比べて葉がやや薄く、下面の毛が短く、褐色程度が低い。
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