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堀のさか杉
(ほりのさかすぎ)
山県郡旧加計町(安芸太田町)堀の覗(のぞき)堂境内にある一本杉。樹齢は不明だが、伝説では、密かに諸国を回った北条時頼(ときより)が、覗堂に寄り、手にしていた杖(つえ)を地に立てたのが芽吹いたものといわれている。あまりの景勝に目を奪われ、杖を忘れて帰ったということか。
ただし、覗堂にある説明板には、西行(さいぎょう)法師の杖になっている。西行伝説もあるのだろう。
覗堂は地蔵堂である。かつては太田川がすぐ下、10メートル以上も絶壁を落ちた所を流れる景勝の地だった。
西行伝説にあやかってか、この堂では句会や詩作会などがよく催された。
第15代の加計八右衛門が明和5年(1768)に編集した『松の落葉集』には、覗堂での歌が載せられている。また、寛政9年(1797)に発行された『加計萬乗』という句集には、覗堂と題し「月や知る、その鎌倉の影法師」の句が残されている。
ともあれ、境内の大スギは、県内でトップを争うような巨樹ではないが、根元よりも、幹の中間部が太いという特異な形をしている。樹高18メートル余、目通り幹囲3.25メートル、そして中間部が約4.5メートル、まさに逆さに育ったスギである。
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