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臥竜山のブナ林(がりゅうざんのぶなばやし)

 八幡高原の南東にそびえる臥竜山(1,223メートル、比高約430メートル)の高原側北西斜面、海抜1,000メートル以上の地域に立派なブナ林が発達している。上層には、ブナを主としてホオノキ、ハウチワカエデ、コシアブラなどがあり、下層の低木としてはハイイヌガヤ、エゾユズリハ、クロモジ、タンナサワフタギなどが著しい。草本層にはミヤマカンスゲが多く、ヤマソテツ、ツヤナシイノデ、ジュウモンジシダ、シラネワラビなどのシダ類がよく目につく。谷筋には天然生のスギも見られる。海抜1,000メートル以下になるとブナは急に少なくなり、ミズナラ、イヌブナ、クリ、トチノキなどが多くなる。
 ブナの果実は三角錐形で食用になり、古い書物に「味栗の如し」と記されている。旧芸北町(北広島町)では、ブナをノジイと呼んでいるが、果実の味がシイの実(み)に似ているからであろう。以前はブナの果実を乾かしてお手玉に入れ遊んだという。シャカシャカと気持ちのよい音がするので重宝がられた。
 材の乾燥法が発達したため、ブナの木の短所である狂いや変色が少なくなり、家具、合板、曲木細工(まげきざいく)、その他に広く利用される。
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