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断魚のホンシャクナゲ
(うおきりのほんしゃくなげ)
太田川の川舟交通の要衝であった旧加計町(安芸太田町)から国道322号に沿い、旧豊平町(北広島町)境を経て丁川渓谷(ようろがわけいこく)をのぼる。
整然と植林されたスギの造林地、梢を覆う緑は、どこまでも豊かで深い。渓谷美にみとれ、清流の音を聞きながら薄暗い溝口隧道を抜けると北部右手の岸壁いっぱいにシャクナゲの群落をみる。
面積はおよそ5ヘクタール、古いものは100年に達する木が自生した群落地。
濃い緑の葉、葉身は長さ10〜15センチの細い楕円形、枝先に集まってやや輪生状に互生(ごせい)する。その枝先に紅紫色の花をつける。
また、この一帯は丁川随一といわれる渓谷美をみることができる。シャクナゲが群生する岸壁に沿って大断魚・小断魚と呼ばれる二段の滝がそれである。澄みきった清流に映す春の新緑と木立の間に咲き乱れるシャクナゲの紅、そして秋には、清流全体が燃えるような朱に染まり、その美しさは思わず息をのむほど。静寂の緑は、さまざまな歴史を包んで生き続けている。
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