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福王寺山(ふくおうじやま)

 福王寺山は、可部市街地の西北にある海抜496メートルの山で、頂上近くには「安芸の高野山」といわれる真言宗の古刹(こさつ)福王寺がある。南原(なばら)からの登山道が古いが、次第に大畑や福王寺口からのコースの利用が多くなっている。仁王像のある山門をくぐって石段を上ると燈明杉(とうみょうすぎ)など巨樹群があり、多くの堂宇が並んでいるたたずまいは素晴らしい。裏側に金亀(きんき)伝説を有する池があり、金亀山が福王寺の山号になっている。
 福王寺は、縁起によると空海が当山を訪れた時に一大奇樹を発見し、枝や根をつけたまま刻んで像長3メートル余の不動明王(みょうおう)とし、これを本尊として開創したという。この像は、彫刻史上平安末から鎌倉初めの作とされており、また、可部荘が高野山領になるのが大治2年(1127)であるから、この頃の開創と推定してよかろう。最盛期には堂舎48宇を有したが衰退した。
 鎌倉末に河内国の人禅智が中興し、安芸国守護武田氏信は堂舎造立などの援助をした。以後、戦国時代まで武田氏の保護が続いた。
 中近世移行期、当地の寺院の真宗化が進むなかで、当寺は真言の法燈を守り、今日に及んでいる。
 昭和52年(1977)の火災で、本尊や寺宝等を焼失した。現本堂は同56年(1981)の再建である。
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