広島県の文化資源画像

古寺めぐりの坂道(こじめぐりのさかみち)

 尾道は、南は尾道水道に面し、北に山を背負って平地に乏しい。すでに今川了俊も『道ゆきぶり』の中で、応安4年(1371)の尾道の状況を、山の麓に家々が所狭しと立ち並び、網干す庭も少ないと描写している。現在、JR山陽本線はその市街地のほぼ中央を東西に走りぬける。
 北側の山腹には、市街地を見下ろすように本瓦葺き、朱塗りの堂塔が点在している。浄土寺・西国寺(さいこくじ)・西郷寺・天寧寺・千光寺をはじめ各宗派のさまざまな建築様式の建造物は、落ち着いた町並みとあいまって、中世以来の港町のたたずまいをとどめている。その寺々を連ねるのは、生活道にもなっている昔からの狭い坂道と小路である。
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写真説明

古寺の多い市街地、古寺と古寺を急な坂道が結ぶ(平成5年頃の写真)
【写真ガイド】
JR山陽本線尾道駅下車、尾道駅前を始点とする。

メモ

 浄土寺は聖徳太子の創建といい、それを物語るかのように3体の聖徳太子像を有している。建武5年(1338)の南無仏太子(なむぶつだいし)像、暦応2年(1339)の摂政像、乾元2年(1303)の孝養(こうよう)像である。境内には、嘉暦2年(1327)の本堂、元徳元年(1329)の多宝塔、康永4年(1345)の阿弥陀堂、室町初期の山門などがあり、中世中期の面影をよく伝えている。
所在地尾道市東御所町~東久保町

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