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上野池(うえのいけ)

 この池は、総面積約12ヘクタールの農業用溜池であるが、庄原市中心部に近く、四季を通じて市民の憩いの場となっている。池畔には、約1,000本の桜やツツジが植樹されているので、桜の名所として知られ、毎年4月1日から30日まで桜祭りが開かれる。この期間中は訪れる花見客で賑わう。夕方ともなれば、ぼんぼりに灯が入り、夜桜が観賞できる。
 『芸藩通志』は、「上野池は廻り30町あり、山を掘ぬきて田地へ引く、穴の上に流鑿の碑を立り」と記している。池畔の碑は、安永9年(1780)のもので、それによると慶安−承応年間(1648〜55)に上野沼を灌漑用溜池に改修した。以後、堤防の嵩(かさ)上げ・池底の掘り下げ・導水路の改良などを相次いで行ったことを述べている。
 『出家とその弟子』『愛と認識との出発』などで有名な倉田百三は当地の出身で、彼の詩「森の沼」の一節を刻んだ文学碑が立っている。池の北側丘陵には、全長36メートルの前方後円墳である瓢山(ひさごやま)古墳がある。古墳時代前半期のものと推定されている。
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