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吉水園(よしみずえん)

 古い町並みが続く加計の中心部、その北側の山際丘陵に、江戸時代に作庭された地割りをよく残す吉水園がある。
 これは、芸北きっての鉄山経営者隅屋の別荘に作庭されたもので、天明元年(1781)9月、佐々木八郎右衛門正任が造園に着手。同年に池や築山を築き、翌年にあずまやの吉水亭、鉄山繁栄のための金屋子神社を建立し、さらに3年(1783)には近くの台之原にあった松林庵薬師堂を移築している。その後、広島の縮景園を改修した京都の庭師、清水七郎右衛門を、天明8年(1788)から計3回にわたって招いて大改修を行い、ほぼ現在のような姿に整った。数寄屋風の吉水亭は、茅葺(かやぶ)き、入母屋造りで、内部は2畳・4畳に分かれ、高間に作られた2畳からは、谷間を流れる太田川と山並みが一望できる。初夏の5月頃には、園内の池のほとりのサツキの枝や草むらには、モリアオガエルの産卵も見られる。
 なお、吉水園は広島県名勝、モリアオガエルは広島県天然記念物に指定されており、老朽化した吉水亭は、平成3・4年度に解体修理が行われて、建築当時の姿に復元された。年2回、春と秋に一般公開されている。
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