広島県の文化資源画像

官立綿糸紡績工場跡(かんりつめんしぼうせきこうじょうあと)

 明治維新後、外国から良質の綿糸が輸入されるようになり、国内の紡績業は不振に陥った。その中で、当時の政府は、殖産興業政策の一環として綿糸紡績業の振興を図るため、綿花の産出の多かった愛知県と広島県に、洋式紡績の模範工場を建設することとした。
 輸入されたイギリス製紡績機は水力を動力とするものであったため、工場は熊野川上流の上瀬野川村荒谷(現安芸区上瀬野町)に建設されることとなり、3年の歳月をかけて明治15年(1882)に完成した。
 完成寸前に、広島県令の出願により広島綿糸紡績会社に払い下げられたため、官立模範工場としての役割は果たすことはなかったが、この工場建設は日本の紡績業の発展の先がけとなった。
 現在、県史跡に指定され、工場跡地には、石垣、水門、水の調整口などが残り、当時の面影を偲ぶことができる。
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