広島県の文化資源画像

御年代古墳(みとしろこふん)

 国道2号沿いの三原市本郷町南方の一帯は、沼田川下流域の入りくんだ谷間の1つであり、谷をのぞむ丘陵のすそには、古墳時代後半期の重要な古墳が点在する。谷の奥から南方(みなみがた)神社の家形石棺、貞丸(さだまる)第一号、第二号古墳、御年代古墳、梅木平(ばいきひら)古墳などがある。梅木平古墳は、広島県最大規模の横穴式石室を内部主体とし、そのほかは溜箭(たまりや)古墳(三原市)を含めて横穴式石室に家形石棺の納められたものが、この地域に集中している。
 御年代古墳は、明治28年(1895)に堀り出されたようで、横穴式石室に2基の家形石棺の納められているところに特色がある。石室、石棺とも花崗岩の切石が使われ、石室の全長は約10.8メートル、玄室は中央の左右に柱状の石をたて、これに楣石(まぐさいし)をかけ、前室と後室の2つにわけている。そしてそれぞれの室に刳抜(くりぬ)き式の家形石棺が納められる。後室のものは、前室のものに対して棟幅の狭い屋根形の蓋がのる。前室のものは全体に扁平で丸みをもち、棟幅の広い屋根型の蓋がのる。縄掛突起などの装飾はない。出土品としては、耳環、金属器(鞍金具、雲珠(うず)、辻金具)や各種の子持須恵器類がある。硬質の花崗岩を加工しているところは、他の竜山石製とみられる石棺と異なる。
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