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杭の牛市跡(くいのうしいちあと)

 昭和41年(1966)に、県史跡に指定された杭の牛市跡は、三原市久井町内の亀甲(きっこう)山一帯に残る牛馬宿、丘の上の伯耆大仙(ほうきだいせん)神社の分霊をまつる大仙神社などを含むものである。
 久井町は、かつて備後国杭の庄といい、伯耆の大仙市、豊後浜の市と共に、日本三大市場の1つに数えられたのが杭の市であった。
 起源は、応和(おうわ)3年(963)9月23日と伝えられ、牛馬市として栄えた。その理由は牛馬産地の中国山地を控え、内陸の中心地で、尾道、三原などを通して、関西の消費地につながっており、牛の買い手、売り手共に便利な位置にあった。
 しかも、天慶(てんぎょう)元年(938)に創建されたと伝えられる稲荷(いなり)神社の境内とその周辺は、信仰に篤い人々が集まり、牛馬の取り引きを一層活発にした。杭の市に通ずる道は「稲荷道」と呼ばれ、道は市に集中していた。
 神社の東の丘の上には、牛の守護神大仙神社があり、地元の人は「大仙大明神」と呼んでいる。
 牛市には山陰、山陽はもとより、四国、九州、大坂方面から牛馬や人々が集まった。
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