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唐樋門
(からひもん)
草深(くさふか)は町の南西部にある。「草深はもと下山南(しもさんな)より割きて一村となる。草叢深き所なりしためその名を冠せられたものか」と、町の資料で説明されている。
この草深の南端に「磯新涯(いそしんがい)」という干拓地がある。往時は、寄の宮神社あたりまで入江をなしていた。葦が入江には生い茂っていたのであろう。
福山藩の財政施策として、寛文(かんぶん)年間(1661〜73)の頃およそ50ヘクタールの干拓が行われた。山南川の川口を堰止め、造成された新涯地への農業用水調節のために建造されたのが、草深の唐樋門である。
堤防の東側の一角に、がっしりと石垣を積み上げ、水路に石柱や大きな木の柱によって、樋門を組み上げ、巻きろくろによって用水を調節し、草深一帯の農地を守った。
元禄9年(1696)と、安永3年(1774)の2度にわたって大修理が行われ、創建時の壮大な構築の原形を伝えている。
昭和57年(1982)解体復旧工事が行われ、樋門を上下する巻きろくろを復元、中央には昭和に入って使われたウインチもそのまま残されている。
干拓史研究上、貴重な産業遺跡である。
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