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竹林寺(ちくりんじ)

 竹林寺は、標高535メートルの篁村山(たかむらやま)山頂にある寺院である。寺蔵の竹林寺縁起絵巻(えんぎえまき)によると、天平2年(730)行基(ぎょうき)がこの山を訪れ、光輝く桜樹を刻んで千手観音(せんじゅかんのん)をつくり、これを本(ほん)尊として桜山花王寺(さくらざんかおうじ)を建てた。さらに八千代(やちよ)という女性が、当寺へ一千日夜中参詣の願(がん)を懸けて授かった子供が小野篁(おのたかむら)で、篁は後に京に行って出世するなど篁と当寺の関係は深い。その後、篁山竹林寺と改めたと伝えられている。
 今川了俊(りょうしゅん)の『道ゆきぶり』に「安芸国沼田(ぬた)の里を越えて、入野(にゅうの)といふ山里を通り侍るに、此処は、昔小野篁の故郷として、やがて篁とも小野とも申侍るとかや、大なる山寺あり」と記されている。
 その須弥壇内面には、天文14年(1545)の墨書を有する本堂をはじめ、護摩堂(ごまどう)、十王堂、鐘楼(しょうろう)、宝蔵、庫裏(くり)などの建物や享禄(きょうろく)3年(1530)在銘の七重石塔、永正11年(1514)在名の供養碑(くようひ)などの石造物があり、落ちついたたたずまいを醸し出している。
 寺蔵の地蔵菩薩半跏像(じぞうぼさつはんがぞう)は、子院乾蔵坊(けんぞうぼう)の本尊で、建武5年(1338)の造立銘を有する。
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