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因島八十八ヵ所巡り(いんのしまはちじゅうはっかしょめぐり)

 四国八十八ヵ所の霊場巡りを行うと、50〜60日を要するので、一生に一度実行できるか否かであった。そこで瀬戸内海の真言宗の盛んな島々では、「本四国」に対する「島四国」が設定された。因島四国もその1つである。
 嘉永3年(1850)ごろ、島内重井(しげい)村では、村内の霊場巡拝が行われていたと伝えられるが、明治になっては消滅していた。明治45年(1912)に島内一巡の八十八ヵ所が設定された。
 1番霊山寺、2番極楽寺、3番金泉寺と大浜の寺々から始まり、中庄(なかのしょう)、外浦(とのうら)・鏡浦(かがみうら)・椋浦(むくのうら)・三庄(みつのしょう)・土生(はぶ)・田熊(たくま)の各寺を巡り、最後は、86番志度寺・87番長尾寺・88番大窪寺と重井の寺々で終わっている。
 春の好季節に、講の仲間が連れ立って、白装束に身を固め、錫杖(しゃくじょう)を持った遍路(へんろ)姿で島内の道を歩くもので、信仰と保養を兼ねたハイキングとなっている。これら「オヘンロサン」に茶菓などの接待をすることも、功徳(くどく)であるとの信仰もあり、島民の間に今なお生き続けている習俗といえよう。
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