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石州街道と府中宿(せきしゅうかいどうとふちゅうじゅく)

 府中宿は瀬戸内海から広がってきた平野部が、山地のすそにかかろうとする際(きわ)の、芦田川沿いに成立した宿駅である。古代には備後の国府が置かれていたこの地に、一日市・六日市という市が開かれたのは中世末期のことといわれ、当時すでにこの地は、周辺地域の物資の集散地としての位置を占めていたようである。
 府中から北へ延びる道は、近世の初頭には中国山地を越え山陰へ抜ける脇街道として使われていたが、寛永16年(1639)に木綿運上所が設けられるなど、周辺の村々で生産された綿花・木綿織物・タバコ・コンニャク・和紙などが集散する在郷の府中の市として人馬が行き交い、さらに、寛永年間に出口から荒谷・木野山・上下を経て石見に至る石州街道の宿駅として継ぎ立てや旅籠などのある宿場としての機能も加え、町は大いににぎわった。
 今も府中の町には、かつての在郷町・宿場町としての面影を、その家並みや街路にしのばせており、石州街道沿いには福山藩と中津藩領の境界石も復元されている。
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