広島県の文化資源画像

三江線(さんこうせん)

 江の川は中国山地の南にある山県郡大朝町(現北広島町)に生まれ、蛇行と北上を重ね、支流を合わせながら中国山地を貫流して約194キロメートルを流れ、島根県の江津市に至って日本海に相まみえる川である。その川に戯れるように右岸や左岸の崖を走るのが、三次と江津間を結ぶ三江線である。営業路線は108キロメートル余りに及ぶ。
 山陰地方、特に石見と中国山地沿いの村々との結び付きは古い。ワニの文化圏と俗称されるように、日本海でとれたフカの刺し身で祭りが始まり、石見の塩サバのチシャモミで田植えのもてなしをするこの地域は、芸備鉄道の開通する大正年間(1912〜26)までは、ほぼ山陰の経済圏に属していた。そのようなゆかりを持つ石見と安芸・備後北部を結ぶ鉄道の敷施が始まったのは昭和5年(1930)の江津・川戸間が最初で、以後三江線や三江南線の整備を経て昭和50年(1975)に全線が開通した。駅数32のこの線は、ほとんど江の川に沿っており、川と自然が織り成す春夏秋冬、四季折々の峡谷美が楽しめる鉄道として、多くの人々に親しまれている。
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