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道後山登山道(どうごやまとざんどう)

 道後山は、優しい女性の懐を思わせる山だ。この山は中国脊梁(せきりょう)山脈の中で、最もなだらかで、山頂は美しい丘陵状。老年期山岳の見本のような山である。
 標高1269メートルの頂上まで、家族連れでたやすく登山できる。道は樹海をくぐり、芝草原を踏み、ツツジ、サツキ、ツゲなどの階段状群落を稲妻形に登っていく。山頂近くには、放牧牛の越境を阻むための石の城塞が続き、ミニ"万里の長城"といった景趣。
 立ち止まって見渡すと、中国山地の山並みが、広く雄大なパノラマとなって展開する。耳を澄ますと、眼下の樹海に、小鳥のさえずりを聞く。荒々しく山肌を削り取った一角は、山砂鉄採取をした跡。「たたら」製鉄の本拠である。道後山周辺だけで、300余りの採鉄の跡を見る。
 頂上付近一帯には、イワカガミ、スズラン、リンドウ、マムシグサなどの高山植物が四季折々の彩りを見せる。
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