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弥山登山道(みせんとざんどう)

 「こんにちは!」「ごくろうさま!」山に登る人・下る人たちの、すれ違うときのあいさつである。全然知らない人たちが交わす自然なやりとりで、弥山登山はすがすがしい。ほのぼのとした人情に触れ、時折吹き抜ける一陣の風とともに、弥山に登ってよかったと思う。登山道は、大元公園からの道、大聖院からの道、紅葉谷からの道に大別される。
 雪舟園と大聖院の間を登ると、1丁、2丁と石の標識があり、距離を示してくれる。時折石仏があり、汗ばむ顔に語りかけてくれるようだ。途中、展望台があり、深呼吸して後を振り返ると絶景なり! 原始林の間から大鳥居が見え、その向こうを連絡船が白い波の航跡を引いている。
 白糸の滝を左に見ながら、10丁を過ぎると頭上に巨岩が迫り、小さな「ほこら」がある。「賽の河原」である。江戸時代に寄進されたという石畳を過ぎ、24丁で、待望の頂上にたどり着く。1200年余り、消えずに燃え続けている霊火堂から香煙が流れていて、信仰の山という実感がある。
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