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虫木峠
(むしぎとうげ)
戸河内から国道191号を益田方面へ走ると、杉林の続く板ヶ谷に出る。板ヶ谷から松原へ抜ける曲線の上り坂、約1,000メートルが「虫木峠」である。蛇がうねりながら走るがごとく、7曲がりも10曲がりもしながら登っていく。それこそ息つく間もなくハンドルを切り返す。途中、丸石の積み上げられた断層が苔むして美しい。峠の途中から振り返ると、どの場所でも絵になる美しい構図である。
昔、板ヶ谷の人たちと松原の人たちが、農家の祭り「虫送り」で、それぞれ峠まで歩いて交流した。誰言うとなく「虫送りの峠」と呼んだのが「虫木峠」になったと、板ヶ谷の古老が語ってくれた。
峠は明治30年(1897)ごろから車力道に改修され、今日の姿になったが、今、峠の下はトンネルが走っている。虫木峠は、朝や夕、雨上がりの雲海など四季それぞれの風景に接する楽しさがある。
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