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ひろしま美術館(ひろしまびじゅつかん)

 昭和53年(1978)、中央公園の中心に近い一角に広島銀行創立100周年記念事業として建設された美術館である。同銀行が長年かけて収集したフランス印象派の絵画を中心にして、西洋近代美術の名作を常設展示しているが、他に日本の明治以後の近代美術も展示して、市民の美の愛好に応えている。建物はそれ自体として芸術品であるべきであるという、当時の井藤頭取の強い主張に沿えるように苦心されたものであるとともに、公園の中の建物として低く、広島城天守閣の高さに対比して配慮がされたものである。企画段階において、ルネッサンスのローマの名作であるバチカンのテンピエット礼拝堂をも描くなどして審議した結果、その環境の場をかもす廻廊を回らす手法にしたようである。ただし設計者としては低いセンタリングと廻廊をずらすうま味の調和を見せたもので、昭和54年(1979)に第2回広島市優秀建築物表彰と第20回BCS賞(建築業協会賞)を受けたものである。しかも公園として庭園を広くとるため展示室の一部は庭園の地下に設けられるなど、目に見えない工夫がしてある。
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