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宮林家住宅(みやばやしけじゅうたく)

 倉橋町鹿老渡(かろうと)は、倉橋島の最南端。古くは、安芸灘に面する天然の良港で、風待ち、潮待ちの帆船や、九州の大名たちが、参勤交代のおり立ち寄ったところ。古風な屋並みが、往時の盛況を物語っている。
 宮林家は、日向(ひゅうが)地方の材木を扱う商家で日向の藩主もしばしば宿にしたという家で、それが現在の宮林家の住居である。
 江戸末期の建造で、平屋建て、本黒瓦葺き。母屋の中土間を挟んで、左手に土蔵がある。土蔵は裏手にも2つあったが、これは崩壊したため1つは撤去され、あとの1つは、屋根を残し内部は改造された。いずれも土蔵は、木戸と土戸との2重戸になっている。窓は格子戸、外側は、土戸である。屋根瓦は、本瓦葺きで、昭和57年(1982)と60年の2回にわたって、葺き替えられた。この折、丸瓦をわざわざ名古屋から取り寄せ復元された。
 玄関は古めかしい格子戸、入口には、提灯(ちょうちん)掛けがある。座敷に入ると、ヒノキ造りの大きい大黒柱に驚く。さすが、日向材木を扱ったほどの豪商の家といえる。黒光りする柱、長押(なげし)には、槍(やり)、幕末から明治にかけての文人墨客の書がそこここに掛けてある。江戸末期の家構えが、こわされないままで維持されている。
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