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天寧寺塔婆(てんねいじとうば)

 天寧寺は、貞治(じょうじ)6年(1367)、足利義詮(よしあきら)の発願で普明国師を開山として建てられたといわれる曹洞宗(そうとうしゅう)の大寺である。ロープウエーで千光寺山へ向かう途中、眼下に見えるのがこの天寧寺の三重塔である。本堂などは雷火で焼失し、背後の山腹に建立した塔のみが残ったのである。もっとも、この塔も、この寺に創建された嘉慶(かきょう)2年(1388)のときは、塔は五重であったが、寺蔵の記録によると、元禄5年(1692)上方の二重を撤去し、三重塔に改修されたようである。そのためか、何か不恰好な感じがするのは惜しまれる。
 この塔は、創建時の形をとどめる相輪に、和様を基調として禅宗様を濃厚に取り入れた建築様式を示しており、できる限り古い姿を損じないよう配慮された規模雄大な建物となっている。また基壇も4面に石階をつけた基壇となっている。
 この塔は、海雲塔とも呼ばれ、春たけなわの頃、花の雲から屋根上の相輪をのぞかせた塔の姿は、港(みなと)尾道の風光に一段と趣を添えるものとなっている。
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