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向上寺三重塔(こうじょうじさんじゅうのとう)

 向上寺三重塔は国宝である。昭和33年(1958)2月8日指定された。船で瀬戸田港に向かい、港に着く前に、左手に美しい塔が見える。これが向上寺三重塔である。
 この塔は、三間三重塔婆で、本瓦葺き、高さ19メートル、全体的には和様を基調としているが、各重に、扇垂木(おおぎたるき)や花頭窓(かとうまど)(火燈窓ともいう)を配するなど、細部に相当濃厚に唐様(からよう)(禅宗様ともいう)の手法が取り入れられている。肘木鼻(ひじきばな)や隅木持ち送りの彫刻なども巧みに作られており、絢爛豪華(けんらんごうか)である。
 また、初重入口扉の蓮華(れんげ)のわら座や須弥壇(しゅみだん)は意匠として非常に珍しい。
 部材の大部分は当初のものであり、禅宗寺院の塔として建築史上貴重な存在である。
 向上寺は、室町時代の初期応永10年(1403)生口(いくち)島地頭であった生口守平が、大通禅師を開基として建立した禅寺である。
 三重塔は、信元・信昌を檀那(だんな)として、永享4年(1432)正月13日に起工し、6月3日に上棟式を行ったと記録(向上寺塔婆本尊開光明語)に残っている。
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