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安国寺釈迦堂(あんこくじしゃかどう)

 鞆(とも)は、古代より風待ち、潮待ちの港として発展した。その港にほど近いところにある臨済宗寺院である。暦応(りゃくおう)年間(1338〜1342)、足利尊氏(たかうじ)・直義兄弟が全国に安国寺を設けた際の備後安国寺で、法灯国師覚心を開山と仰ぐ。しかし、その後、本尊の阿弥陀(あみだ)三尊像の胎内銘から、この像は、文永11年(1274)に空蔵房寛覚を大勧進、平頼影を大檀那として大仏師覚尊によって金宝(きんぽう)寺のために造立されたことがわかった。このことから備後安国寺は新設ではなく、金宝寺を改めたとの説がでてきた。
 釈迦堂の建立は、南北朝時代あるいは鎌倉末期にまでさかのぼるとされる。桁行(けたゆき)・梁間(はりま)各三間、一重、入母屋造り、本瓦葺きで、典型的な禅宗様仏殿形式を伝えている。天正7年(1579)、大修理をし整備をしている。重要文化財である。
 周囲には町並みが迫ってきているが、堂の前面の地蔵堂には、元徳2年(1330)在銘の地蔵菩薩坐像(ぼさつざぞう)があり、後面には、桃山風の庭園が近年復元され、釈迦堂とともに往時の面影を伝えようとしている。
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