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吉備津神社本殿
(きびつじんじゃほんでん)
吉備津神社は、備後14郡の一宮(いちのみや)で、当地では「一宮(いっきゅう)さん」と呼ばれ親しまれている。備後国が吉備国から独立し、やがて備後吉備津神社も備中吉備津神社から分かれたものである。祭神は吉備津彦命(きびつひこのみこと)である。
本殿(重要文化財)は、福山城主水野勝成が、慶安元年(1648)造営したもので、桁行(けたゆき)七間・梁間(はりま)四間の規模雄大な建物である。屋根は、三間向拝(ごはい)千鳥破風つき軒唐破風の檜皮(ひわだ)葺きである。柱は、身舎(もや)は円柱、庇(ひさし)向拝は角柱である。内部は中央柱筋より後退した位置に祭壇を設け、壇上に平(ひら)三斗をおいた柱2本を立て板扉をつけている。床は板張り、天井は、内陣は棹(さお)縁天井、庇部分は格(ごう)天井となっている。室町時代の風格と桃山彫刻を具備した意匠的にも優れた建物である。
本殿の下手には、舞殿、楽殿があり、さらに随身門が両側にあるのが珍しい。宝物館にはいろいろ貴重な文化財がある。木造狛犬(こまいぬ)三軀(く)(重要文化財)は漆箔(しっぱく)寄木造りの藤原時代の作であり、毛抜形太刀(けぬきがたたち)四口(重要文化財)はいずれも室町時代の作で、備州尾道五阿弥長行の手になり、銅製錫杖(しゃくじょう)頭(県重要文化財)は刻銘に応仁(おおにん)3年(1469)の字が読まれる。
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