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農村文化史料館(のうそんぶんかしりょうかん)

 備後矢野温泉は、山間のひなびたところ。建仁年間、諸国巡錫(じゅんしゃく)の豊成法師がこの地に、薬効あらたかな霊泉を発見、近郷近在より入湯に来る者が多くなった古い湯治場である。
 昭和42年(1967)1月矢野温泉組合の施設を県同栄社共済連が買い取り、その隣接地に、同栄社温泉保養所「あやめ荘」の経営を始めて以来、本格的な温泉郷となった。
 史料館は、同栄社共済連が「あやめ荘」の敷地内に、昭和57年7月に完成させたもの。鉄骨ALC板造り、アスファルトシングル葺き、玄関庇(ひさし)の屋根も同じ。玄関左手に、農村文化史料館にふさわしく、臥牛像を置く。
 展示品は、広く県内各地から収集されており、農耕・生活用具、古文書など主として江戸、明治時代に主力をおいて集めている。1階には、農耕用具と、埋蔵文化財センターの考古・歴史に関する展示。農耕用具の使用法を写真、絵画などパネルで紹介。解説も丁寧である。2階には主として、生活用具を展示。農家の台所や納屋の一部を復元して、用具の位置づけを明らかにしている。また、県内の農書も江戸末期から明治時代のものをかなり収集している。県全体をフォローする民具の展示は、今のところこの館のみである。
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