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奥家住宅(おくけじゅうたく)

 入母屋造り、茅(かや)葺きのこの住宅は、天明(てんめい)8年(1788)の創建である。民家でその創建年が明確にわかることは珍しいが、この家には「本宅普請万覚帳(ほんたくふしんよろずおぼえちょう) 天明八年申九月ヨリ 敷地(しきじ)村岡垣内武十郎」と記した普請帳と、小屋裏の棟束に棟札があった。普請帳には、天明8年9月に材木を吟味して切り出すところから、11月4日には大工彦平と建築契約を結び、その内容を記し、銀払いの覚え、木出しに来た人々の名や、家屋が完成し、近隣の人々がお祝いを持ってくるところまでの物品の出入りが克明に記されている。その建てられた民家そのものも現存しており、民家を研究するうえでの貴重な資料となっている。
 家屋は6間取り(サの字形)に台所のある角屋(つのや)をつけた平面で、一部改造部分はあるものの、当初の構造をよく残している。この時期になると柱数を少なくする工夫がこらされており、土間上の梁(はり)組みは木太い梁が互い違いに5重に及んでおり、頑丈に組み上げられたその姿は壮観である。その梁が組まれている上部空間の小屋裏は広大であるため、棟束、貫(ぬき)だけでなく、方杖を入れてそれを支えている。
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