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神石高原の並列型住宅
(じんせきこうげんのへいれつがたじゅうたく)
広島県の東部、岡山県北部からのびてくる吉備(きび)高原に連なる一帯は、古くからの交流も深く、水系を同じくするなど、その生活圏は吉備地方として1つのまとまりを持っているかと思われる。並列型住宅と称され、特異な平面をもつこの住宅は、吉備高原の各所に広く分布していたと思われる。
並列型住居と呼称される由縁は、土間に続いて広間と座敷が場所を大きく占めているため、家屋の中には、この3つの空間が並列しているのみという風に見られたためかと思われる。しかし、実際は床上部の広間・座敷の裏側に細長く納戸がついており、四間取りの平面となるようである。ただ、それは三間取り(広間型)の住居に連なるもので、堀江家住宅(庄原市高野町)、荒木家住宅(庄原市比和町)の広間の納戸側奥にあったと推定される「あだなんど」が、土間までのびてきた形ではないかという説もある。このような形の住宅は四国山脈中にも見られるといわれており、地形的な制約とのかかわりもあるのであろうか。それにしろ、日本の民家の変遷を知るうえでの、興味深い民家である。
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