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寿福寺禅堂
(じゅふくじぜんどう)
広島県における曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院は備後国に多く、それも備後北部に濃く分布しているが、この寿福寺はその曹洞宗の寺院の1つである。前に小さな流れを望み、背後に山を背負ったこの寺院は、石垣を積み、土塀をめぐらした内に、鐘楼門をはじめ本堂・庫裏・禅堂・衆寮の堂宇が立ち並んでいる。古くはすべて茅(かや)葺きであったというが、今も山里の小寺院のたたずまいをよく伝えている。その創建についてはつまびらかでないが、寺の由緒書によると、大檀那は赤木十郎左衛門、開山は竪眼禅師により天文(てんぶん)3年(1534)の創建という。それにおくれること2年して禅堂も建てられている。
禅堂などの小仏堂は、もともとは行道の場として建てられていたが、後には一尊をまつる最小限の仏堂として設けられるようになった。寿福寺の禅堂は方三間の宝形造り、茅葺きの建物であるが、江戸時代末期に大きな改造を加えられている。ただ架構をはじめ天井や天井長押(なげし)、禅宗様須弥壇(ぜんしゅうようしゅみだん)・来迎壁などにかつての姿をよく残しており、堂の四方には縁が廻らされ、正面に蔀(しとみ)戸・背面に板戸、内部は板張りの床という、往時の愛すべき小仏堂の姿を彷彿(ほうふつ)させるに十分である。
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