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堀江家住宅(ほりえけじゅうたく)

 日本家屋の平面は、土間・床上が各半分という基本的な形のもとに、三間取り(広間型)、そして馴染(なじ)み深い四間取り(田の字型)平面へという流れを持つと考えられており、堀江家は三間取りの祖型をたどれる遺構として価値ある民家である。その創建年についてはつまびらかでないが、16世紀末とも17世紀初めともいう。いずれにしろ、古い農家の形態をよく伝えている民家の1つであることには変わりない。
 昭和44年(1969)から2年間にわたり、堀江家住宅の解体修理が行われたが、それによると上屋梁や奥の下屋の痕跡などから、江戸時代中期に大幅な改築を行ったものと思われる。とはいえ、主要な構造は創建当初の姿をよくとどめており、上屋柱には曲材を用い土間に立ち、胴差(どうさし)で柱間をつなぐという古い手法を残している。土間に立ち小屋組みを見上げると、素朴な荒々しさを感じる。柱間隔にしても畳寸法によっておらず、このことは近世初期の一般農家では畳を用いず、板敷か藁(わら)敷であった生活を想像させる。土間は広くとられ内廐(うまや)を持ち、冬期の厳しさを思わせる。軒が深く重厚な感じの歴史をしのばせる民家である。
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