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中門造りの民家(ちゅうもんづくりのみんか)

 「ちゅうもんづくり」という珍しい名称で呼ばれるこの建築は、昭和32年(1957)に樽床(たるとこ)ダムが建設されるまでは、樽床のあちこちに見られた。東北地方においてよく見られる曲り屋に類似したL字形のこの建物は、雪が深く、積雪期間も長いこの地方の人々の知恵から生まれた家屋といわれる。
 旧清水家の住宅であったところから「清水庵(あん)」と呼ばれるこの住宅は、右手が前面へ突出した平面をもち、この突き出した部分から奥にかけてを「中門」と呼ぶ。この中門の部分には、「駄屋」があり、便所や下肥貯蔵所、干し草置き場、木小屋として利用され、冬季に雪に閉じこめられても生活しやすく造られている。このような「内駄屋」などをもつ住宅は、突出部はないものの備北地方においても見られ、内駄屋部分が突出したのが中門造りであり、曲り屋は駄屋と母屋が結合したものであるので、両者の構造は異なるとの説もある。いずれにしろ、雪深い地域に住む人々の知恵が生んだ建築様式であることに変わりない。冬期には母屋の入口を閉ざし、突出部の入口から出入りしたという。ちなみに、樽床は11月末から4月まで雪におおわれ、かつて積雪は1メートルから2メートル余に及んだ。
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