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灰小屋
(はんごや)
灰小屋とか灰焼場、ハンゴヤ、ハンヤなどと呼ばれ、県内に広く分布した草木灰、焼土などを製造する小家屋。
安芸中南部では、水田の農道わきなどに設置され、20アールに1基の割合で存在した。広島市安佐北区、旧高田郡南部、東広島市、旧賀茂郡などの水田地帯に、最も多く、独特の田園風景となっていた。この地方では、水田の土を、粗朶(そだ)、ごみなどとともに焼いて、麦作の肥料とした。焼土法とか燻焼土(くんしょうど)法で、全国的に見ても古い自給肥料づくりの農法であった。
備後地方では、家の周辺に設置し、主として草木灰を製造、麦や大豆、そばなどの肥料とした。
灰小屋は、農家にとって、重要な役割を持つ施設。「灰小屋を見れば農民の腕前が分かる」といわれた。火をたくところだけに、構造は頑丈に出来ている。腰壁は、石と赤土をこねた大きな固まりで積み上げ、厚さは50センチ内外。小屋の4本柱は、「灰小屋柱」といいクリの巨木を使う。屋根は、草屋根で、9尺4方以下の灰小屋には寄棟が多い。一戸建が普通だが、大きな農家になると、連棟式4室という豪壮なものもあった。
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