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辻堂(つじどう)

 辻堂は、一般には、「堂」、「お堂」、「み堂」、「憩い堂」、「休み堂」などと呼ばれている。堂に勧請されている民俗神から「地蔵堂」、「薬師堂」、「観音堂」、「大師堂」、「阿弥陀(あみだ)堂」などという。
 村落の往還や峠、人通りの多いところに建てられており、旅人の休み場、宗教的な行事の場、地域住民の日常生活の広場として活用されてきた。
 構造は、二間四方で、4本柱を建て、屋根は草葺き、入母屋か寄棟造り。床は板張り、四方吹き抜けで開放的。建物自体は、高倉に似ている。正面奥の上方に棚があり、地蔵、大日・薬師如来、観音などの石像仏がまつられている。
 屋根裏には、組内で使う葬具が保管されているところもある。辻堂は20〜30戸の集落に1基程度存在し、修復、管理、祭事は、集落ぐるみで行われ、昭和20年代まではちょっとした寄り合い、物資の配給、牛の蹄(ひずめ)切りなど、ここを利用した。また旅人は自由に休み、時にはここを宿にしていく人もいた。
 修復のさいの建材などは、共有林から伐(き)り出したり、集落の篤志家の寄附などによって調達し、村落共同体のシンボルとして保全した。
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