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鯛麵(たいめん)

 鯛麺は素麺鯛(そうめんだい)ともいわれて、主に沿岸部でおめでたい宴席に作られてきた。棟上げや喜寿、米寿などの祝いの料理であった。
 豪華な料理で、最近では酒宴の席にも出される。
 大皿にゆでたそうめんを波形に盛り、その上に鯛の姿煮を盛る。木の芽やキュウリ、錦糸卵、甘からく炊いた椎茸などをそえ、松の小枝などで飾る。
 宴会場の中央に飾っておき、会食がたけなわになって、めいめいのお膳の料理が減ってきた頃を見計らって、手伝いの人が正客から順番に小皿に取り分け、かけ汁をかけ、薬味などそえて出す。
 招かれた客は、鯛の大きさや味のよさをほめ合い、このめでたさが素麺のごとく長く続くことを祈りながら御馳走になる。
 鯛を姿のまま煮るには工夫がいる。棟上げ等には仕出し屋を頼み、その指図で近所の手伝いの人達が作った。うろこを取り、腹わたやえらを除いて飾り包丁を入れる。煮くずれを防ぐため、わらや竹の皮で舟底型の敷物を作ってのせ、それがすっぽり入る大きな平鍋で、薄味に炊く。時には塩焼きにすることもある。
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