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夏の花(なつのはな)

 「夏の花」は、原爆に遭遇した原民喜が「このことを書きのこさねばらない」という決意と意志で書いた、被爆3日後までの詳細な記録文学である。その後の記録「廃墟から」と、被災以前のことを描いた「壊滅の序曲」とともに3部作を成す。
 ギラギラノ破片ヤ
 灰白色ノ燃エガラガ
 ヒロビロトシタ パノラマノヤウニ
 アカクヤケタダレタ
 ニンゲンノ死体ノキメウナリズム
 スベテアッタコトカ アリエタコトナノカ
 パット剥ギトッテシマッタ アトノセカイ
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 これは詩人でもあった原民喜が「夏の花」の中に1ヵ所だけ挿入した詩編。にぎ津神社横から焼け跡を横切り、八幡村(広島市佐伯区)まで退避する途中で嘱目したものである。
 原爆ドーム横の詩碑には「碑銘」一節を刻む。
 遠き日の石に刻み 砂に影おち
 崩れ墜つ(おつ)天地のまなか 一輪の花の幻
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