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黒い卵(くろいたまご)

 生ましめん哉
 生ましめん哉
 己(おの)が命捨つとも
 栗原貞子の詩「生ましめん哉」は、雑誌「中国文化」創刊号昭和21年(1946)3月に掲載され、詩歌集「黒い卵」(同8月)に収められた。
 千田町の広島地方貯金局の地下室。原爆の一撃から命からがら逃げのびて来た人たちの“生ぐさい血の臭い、死臭、汗くさい人いきれ、うめき声”の中で“新しい生命(いのち)”が生まれた。自らの重傷にもめげず、これを手伝った産婆は、その命と引きかえのように“血まみれのまま死んだ”。「生ましめん哉」には、その一部始終が活写され、人間の生命の永遠性を見事に描き出している。
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