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原爆詩集(げんばくししゅう)

 「原爆詩集」は、峠三吉の生前唯一の詩集。広島市内翠町の自宅で被爆後、体に刺さったガラス片や下痢、原爆症に悩まされながらも、知人を求めて焼け跡をさまよい、その克明なメモをもとに、この詩集をまとめた。昭和26年(1951)発行、詩編25編を収録する。特にその「序」とされた
 ちちをかえせ ははをかえせ 
 としよりをかえせ 
 こどもをかえせ 
 わたしをかえせ わたしにつながるにんげんをかえせ
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 の一編は、原爆の惨禍を目の当たりにした人間の真の心をうたい上げたものとして有名。詩集全編を通じて“怒りと抗議”のリアリティがあふれ、人々の心に迫る。
 峠三吉はまた、広島青年文化連盟の活動や、広島詩人協会の設立にも献身的な努力をし、戦後の反戦・反原爆の文学の潮流に幅広い影響をもたらしたが、昭和28年(1953)国立広島療養所で肺葉切除手術中に、36歳の若さで死亡した。
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