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君よ 今昔之感 如何
(きみよ こんじゃくのかん いかん )
大衆文学に独自の分野を開いた吉川英治の代表的作品に「新平家物語」がある。保元物語・平治物語・源平盛衰記・義経記・吾妻鏡などの内容を、「平家」という語韻や連想を用い、さらに作者の創意を加えて書いた長編小説である。
平清盛は、久安2年(1146)に安芸守となって以来11年間在任した。その後も安芸は一族の知行国(ちぎょうこく)とされていた。また、厳島神社は清盛一族の熱烈な信仰を受け、社殿の造営や宝物の寄進を相次いで受けるなど、平家と安芸地方の関係は深く、「新平家物語」でも主要な舞台の一つとされた。
音戸の瀬戸は、清盛開削の伝説を有する平家ゆかりの地である。当時、平家は日宋貿易を重視し、瀬戸内海航路の整備を進めていたから、この伝説が成立し、当地に伝承されているのであろう。
作者は、執筆取材のために当地を訪れ、瀬戸を見下す丘に立ち、その感懐をうたった。現在は丘上の三角石に刻み込まれている。また、この碑に呼応するように清盛の日招き像も丘上に立つ。
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