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悠久の流れの中に(ゆうきゅうのながれのなかに)

 平山郁夫は、その芸予叢島の生口島で生まれ育った。平山の実家の裏山にある向上寺山に登ると、光る海の中に、たくさんの島々が連なる美しい景色が展開する。その海を眺めていると、膨大な海水を伴って海が西に東に滔々と流れ、潮の流れがとまった一瞬には、神秘的とも言える静寂の中に身を置くことになる。
 「この動と静の渾然一体となったありさまを、私は潮の流れから学んだように思います。大きくうねる潮が、干満の境にピタリと静止する。その瞬間の静逸が、美意識の原点ともなっているのです。」「私の原点にはいつも、『海』があるように思います。水が一滴もないような砂漠に立つ時も、その風景の広がりの中に海を感じ、まるで潮のようにたゆとうているであろう何ものかを想うのです。」
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