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歌集 純林(かしゅう じゅんりん)

 山川の瀬波の音をあさゆふに聞く幸(さいはひ)を知りて君住む 
 あかつきと思ほゆるころ小手帖にかすかなる字を書きつついたり
 朝あけて柴たく煙のほの甘くにほひ来てよりしばし見し夢・・・
 日のさせば豊かにゆげのたちのぼる谷の木の橋渡りかゆかむ
 山向うの出雲とおもふ北空の黒雲の秀(ほ)の細きかがよひ
 
 「純林」には、昭和18年(1943)11月から22年(1947)12月までの4年間の作528首を収録している。21年(1946)中国路の旅で、三良坂に宿泊、「備後三良坂町」と題して15首を載せている。
 しばしばも夜半を目覚めて秋雨がたたく備後の土の音聞く
三良坂から布野、赤名峠へと歌の旅を続け、中村憲吉をしのんでいる。
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