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山彦(やまびこ)

 「山彦」は、鈴木三重吉の第2作である。明治40年(1907)「ホトトギス」に発表した。
 病身の姉をたずねて、はるばる東京から慰問の後また帰っていく物語である。主人公(鈴木)の、当時の「中国地方の奥地」での印象が詳らかに記されている。
 「しづかに腰をかけているうちに、向うの青柿の間から、色の白い女がふと現れて、畠の中を真っ直にこちらへ向いて来る。姉である。白木の三寳をさげている。・・・側へ来て、疲れが出たろ、と言って肩にさはる。・・・」 姉とのいろいろなエピソード、当時の山県郡加計町(現安芸太田町)の自然と風土が細かに描かれている。情感豊かな小品である。
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